院外報・新発田病院だより
Web版新発田病院だより 第17号2005年2月
当院における救急外来の実態について
県立新発田病院長 関根 輝夫
皆様新年明けましておめでとうございます。昨年は7・13水害、中越地震と、新潟県にとって大変な年でありましたが、今年は災害のない平穏な年でありますよう願っております。今回の新発田病院だよりでは、当院における救急外来の実態について述べさせていただきます。当院では救急患者さんは365日、いかなるときでも受け入れることをモットーにしております。当院の救急患者取り扱い数は県立15病院中最多であり、救急車の搬入件数は年間約4000件に上ります。救急患者さんの内訳を見ますと、一刻を争う緊急処置を要した患者さんもある一方、軽症つまり一次救急患者さん(中でも小児科が多い)が半数以上を占めております。本来医師の病院当直というのは「病室の定時巡回など軽度か短時間の業務に限る」、「夜間十分な睡眠が取れる」とされておりますが、これとは余りにもかけ離れているのが実態であります。午前中は外来患者さんを診察し、午後は検査、手術、病棟回診があります。当直に当たると、夜は急患が来るたびに起こされ、睡眠もろくに取れないまま翌朝は平常勤務に服さねばなりません。しかし地域におかれた新発田病院の使命を考えれば時間外救急も責務と感じて皆黙々と働いております。救急患者さんは医療側から見ると、一次(軽症)から三次(重症)に分けられますが、患者さん側からすればこの判断は無理というものでしょう。しかしこのような実態であることはご理解いただきたいと思います。
ところで当院は平成19年4月に移転する新病院では救命救急センターの設置が目玉の一つになっております。ここでは阿賀北の二次、三次救急を行うことが建前になっており、一次患者さんを診てくださる医療機関が望まれておりましたが、幸いなことに地元医師会より今年の4月から健康開発センター内に平日夜間救急診療所が開設されることになりました。これは患者さんにとっても大変ありがたいことだと思います。それこそ救命救急処置を要する患者さんはこれまで通りいつでもお引き受けいたしますが、以上述べたような実態をご理解のうえ、感冒などの軽い病気と考えられる場合はこの平日夜間救急診療所をぜひともご利用いただきますようお願いし、稿を終わらせていただきます。
健康のためにちょっと役立つ話健康のためにちょっと役立つ話
当院でのノロウイルス感染対策
内科部長・院内感染対策委員長(インフェクションコントロールドクター) 関 義信
平成17年に入り、ノロウイルスに関するマスコミの報道はかなり多くなってきているように思えます。あたかも人類が遭遇したことのない大変恐ろしい病原体のように報道されていたり、老健施設・医療機関に対する一方的な中傷としか思えない報道も認めますが、これらは当然の事ながら正しくありません。冷静かつ科学的に正確な事実を報道して欲しいものです。
当院では昨年11月末に5東(小児科)病棟を中心にノロウイルス感染症患者が多数入院されました。それらは巷で発症した小児ないしその親御さんの感染症です。これらの発症は仕方がないものであります。昔から「牡蠣の生食で吐き下しに当たった」というのは、まさに今で言うノロウイルス感染症であります。何処にでも存在しうる感染症なのです。新聞等で「新潟県内は何例発症した」などと報道されていますが、行政がすべてを把握仕切れるものではありません。自宅で寝込んでいるうちに回復する方が多数おられるからです。ただし、脱水に弱い小児や体力の弱った老人が発症すれば入院が必要なことがあります。入院加療は病院の重要な使命でありますので、院外で発症したノロウイルス感染症患者が入院することは仕方がないと論じているのです。私ども院内感染対策委員会の任務は、院内(病院)感染をしっかりと予防することです。すなわち、「ノロウイルス感染症以外の病気で入院している患者さんに、ノロウイルス患者のウイルスを院内でうつさないことあるいは蔓延させないこと」なのです。
ノロウイルスの最初の報告は、1968年に米国のオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者の糞便からウイルスが検出された事に始まります。その後、小型球形ウイルスのほとんどが本ウイルスであることが判明し、2002年8月、国際ウイルス学会で正式に「ノロウイルス」と命名されました。
ノロウイルスは1本鎖RNAウイルスで、牡蠣等の二枚貝の中腸腺と呼ばれる黒褐色をした部分に存在します。食中毒件数からみると、11月から発生件数は増加しはじめ、1〜2月が発生のピークになる傾向がありますがほとんど1年中認められます。臨床症状は、24〜48時間の潜伏期間の後、吐気、嘔吐、下痢、腹痛で発症します。発熱は軽度とされています。通常は、これらが1〜3日続いた後、治癒し後遺症はありません。感染経路は、糞便からの経口感染が主なものですが、患者の吐物を拭いたタオルを教室に干しておいたらその日のうちに同じクラス中の児童が感染したという、空気感染を完全に除外できない事例も報告されています。感染症の予後としては良好なのですが、一時的な症状は顕著で、感染力も強く、症状が消失後も1〜4週程度は便からのウイルス排泄期間が続くことがありますので食品関係にお勤めの方は特に注意が必要です。
これらを踏まえて、当院ではノロウイルス感染者入院直後の11月29日に「ノロウイルス対応指針」を、同30日に「ノロウイルス蔓延期間の食器運用指針」を作成しノロウイルスの院内感染予防に努めて参りました。指針はガイドラインとも言われております。「ノロウイルス対応指針」は、手洗いの徹底、患者の糞便・嘔吐物・おむつの処理方法、患者専用トイレの確保、有症状者職員の業務制限、シーツ・リネン類の交換方法、カーテン消毒方法、有症状者の下着の消毒方法、病室の移動・交換・囲い込み、共有スペースの一時的な閉鎖、入浴時の留意点、有症状者の詳細な経過記録、ノロウイルス感染の検査に関して、などからなる院内の決め事です。「ノロウイルス蔓延期間の食器運用指針」は、蔓延期間にウイルスを栄養課に持ち込むことを防止し、給食を介した院内での爆発的な蔓延を阻止しようとの目的で作成された指針です。これらの指針作成後には甲斐あって、当院では院内感染と思われる集団発生は認めておりません。
今後もこれらの指針を活用しながら患者の皆様の安全を確保するよう努力致しますが、逆に患者の皆様に御協力を頂く状況が生じてくる場合があるかも知れません。その節は、院内(病院)感染対策への御理解と御協力を何卒宜しくお願い申し上げます。
トリアージ訓練について
大規模災害発生時における円滑な医療活動を期するため、災害拠点病院として防災関係相互の緊密な連携を構築するとともに、職員の防災医療に対する理解と協力体制の強化を図ることを目的として、去る平成16年11月27日(土)にトリアージ訓練を実施しました。
時あたかも、中越地震が発生し県立病院においても十日町病院等で大変大きな災害に直面した後でもあり、参加者一同緊張のうちにも皆、熱心に取り組みました。今回の訓練は、昨年に続き2回目の訓練でしたが、実際の動きに対応できるようより実践的な訓練とするため、土曜日の午前中に実施しました。参加者は、災害対策委員をはじめ全セクションから約100名。 それに看護専門学校の学生38名が模擬患者役として、また新発田広域消防署救急隊の応援もあり、かなりの大規模な訓練となりました。
訓練の開始は、当日の朝7時30分。「粟島沖でM7.7の大規模地震発生。幸い当院のライフラインに大きな被害は発生しないものの、近隣地域から多数の傷病者を受け入れる」という想定の下での訓練。8時30分には、参加職員全員が参集。
そして、9時にトリアージ訓練開始。出産間近の妊婦、切創患者、骨折患者等多数が来院。騒然とした状況下での患者受付、搬送・振り分け、治療等の対応訓練。この間に、家族、部外者(マスコミ等)の対応等も加え、かなりの混乱場面を想定しての訓練を展開し都合2回実施しました。
今回は昨年に続き2回目の訓練ではありましたが、訓練の成果は多いものの、今後に解決しなければならない課題も多くあることが判明しました。具体的には、
1. 震度5以上の地震が発生した場合、いかに早く職員を招集できるか。
2. 職員の指揮・命令系統の確立(指揮・命令が確立していないとたとえ職員が多くいても、烏合の衆である)
3. 日直・当直時における災害が発生した場合の業務マニュアルの策定。
4. トリアージ時のカルテ記載について等等数多くの課題が浮かび上がりました。
今後、これらの課題を解決し、いざという時にも円滑な医療活動が行えるよう更に訓練を重さねていく必要があると思います。災害はいつ、どこで発生するか分かりません。
必要器材の備えとともに全職員が心の準備を怠りなくしておきたいものです。
新病院情報コーナーNo.7
- Q:
- 地域連携センターとはどのようなものですか?
- A:
- 地域連携センターは、県立新発田病院・県立リウマチセンターと地域をつなぐ『総合サービスセンター』です。
患者さんの入・転院、医療相談への対応、さらに、地域住民の方々へ病気や健康等に関する情報提供などを行います。
〔窓口機能〕
紹介を受けた患者さん及び紹介を行った患者さんの診療情報について院内において一元管理を行います。
〔紹介患者管理〕
紹介を受けた患者さん及び紹介を行った患者さんの診療情報について院内において一元管理を行います。
〔医療相談〕
患者さんや地域住民の方々の医療相談や健康相談を行います。
〔啓蒙活動〕
患者さんや地域住民の方々を対象とした公開講座・健康講座の企画運営や広報誌を発行するとともに、患者図書室の運営管理を行います。
〔地域連携〕
外来診療科等病院の診療内容の広報を行い、医師会や地域の医療機関、保健・福祉機関との情報交換や高額医療機器の共同利用の手続きを行います。
〔病院ボランティア〕
患者さんの誘導、巡回図書の貸出しなどを行います。
投書箱から
《患者さんからの声》
当院の皮膚科を受診し、かなり待たされています。私は待ち時間を、短くするために各人の支払いをそれぞれの各人の講座から自動引き落としにするシステムを導入してもらいたいのです。すでに東京都は「ゆう便局」を含めた全金融機関からの自動引き落としを実現させ、大きなコスト削減をしているという事です。昨年、県民サービス向上運動が、県で組織的に展開されました。利用者の利便性、スピードアップにつながる事を能動的に考える姿勢こそ県民サービスであると確信します。
*回答*
診療費の自動引き落としについて、貴重なご意見をお寄せいただきありがとうございました。診療費の自動引き落としについては、患者さんの同意が必要となるなどいくつかの課題を整理する必要があり、現在検討中です。なお、新病院では医事システムの周辺機器として「診療費の自動入金機」の設置予定しているところであり、待ち時間等の解消の改善を期しているところです。
