院外報・新発田病院だより

Web版新発田病院だより 第16号2004年11月

医療者教育と新発田病院
臨床研修管理委員会 塚田 芳久

ここ数年新発田病院は医療者教育に重要な働きをしています。新病院構想に「臨床研修病院になる」というものがあり、平成15年4月に臨床研修病院の指定を受けました。それ以前にも内科学会や外科学会など、30近い学会の教育・研修病院に認定され、若手医師が専門医になるための経験を積む病院でした。平成14年度から新潟大学医学部6年生の臨床実習病院となり、平成16年春からは新医師臨床研修制度が開始され、研修医が4名研修を始めました。そのほかにも看護学生は毎年大勢やってきます。理学療法士や検査技師養成を行う学校や消防署などからも依頼を受けています。皆さんも指導や教育を受けている様子などを見かけると思いますが、どうぞご理解のうえご協力をお願い申し上げます。その際に診療の妨げになると思われた場合は、遠慮なく指導者に申し出て下さい。

さて、今回の新医師臨床研修制度はインターン制度廃止以来、40年近い時を経ての医師教育改革です。そこで少し医師教育についてお話します。医師になるためにはまず医学部の6年間で、基礎医学・臨床医学の全ての領域を学習します。日本においては机上の学習が主体で臨床実習は限定的にしか行われませんでした。したがって、臨床実習は医師免許取得後に始まりました。しかも臨床実習開始と同時に、高度医療を学ぶための専門領域選択を求められ、特定の科(単科)による研修が行われることが大半でした。早く専門領域の研修を始めることは、世界水準の高度な医療を若い医師が早く修得でき、高度医療の普及につながりました。一方単科研修主体による弊害として、プライマリケア研修不足が指摘されました。医療経済の改善とプライマリケア研修の義務化が政策として始まりました。

まず一つは医療機関の機能分担です。高度医療や急性期医療を行う医療機関(急性期病院)と、高血圧や高脂血症、糖尿病をはじめとする生活習慣病など慢性疾患の治療や健康管理を行う医療機関(小規模病院や診療所)、医療よりも高齢者の生活支援を主体にした介護・福祉施設などに機能分化することであります。

もう一つは医師のプライマリケア研修です。病気かなと思ったら、まず家庭医に相談するか診察を受けてください。急を要すると思った場合は家庭医が救急車を要請し、救急病院に搬送されます。この時家庭医か搬送先の医師は、診断し初期治療をしますが、これをプライマリケアと呼び、全ての研修医に修得させようというのが新医師臨床研修制度です。

新発田病院は規模と地域性から、急性期病院と臨床研修病院を担います。そして現在建設中の新病院は阿賀北全体を網羅する救急・高度医療など、住民の皆様の安心につながる医療を行います。そして次の世代を背負う優秀で優しい医療者を育てます。現在臨床研修病院は新潟県内に12あり、新発田病院はその中でも新医師臨床研修制度に最も適した病院の一つと言われています。年間約4000台の救急車搬送を受け、ほとんどの診療科が設置され、新しい研修制度の必修科目である、内科、外科、麻酔・救急、小児科、産婦人科、精神科研修を1つの病院で行える単独型研修病院です。新潟県には他に新潟市民病院と長岡赤十字病院だけです。

医療施設の機能分化には、『かかりつけ医』をお願いする地元医師会との連携が欠かせません。そして患者さんやご家族のご理解ご協力が不可欠です。そして医療者の教育にも、患者さんやご家族のご理解ご協力が必要です。若い医師たちや学生さんの姿勢や態度は「患者さんに優しく」。それを指導する医師も良い手本になろうと変わりつつあります。皆様のご理解とご協力で、日本一の医療者を育てる病院にしていただきたいと思います。

健康のためにちょっと役立つ話健康のためにちょっと役立つ話
狭心症と急性心筋梗塞

新潟県立新発田病院 循環器科 田辺 恭彦

心臓は1分間に60〜80回、すなわち一日約10万回の拍動を生涯休みなく繰り返し全身に血液を送り出すポンプの働きをしています。このポンプを動かすエネルギーは心臓の筋肉(心筋)を栄養している冠動脈から送られてきます。冠動脈は大きく分けて3本あり、あたかも冠(かんむり)をかぶったように心臓の表面に存在し、心筋全体にくまなく酸素や糖分などの栄養を与えています。十分な酸素の供給を得て、はじめて心筋は元気に収縮を繰り返すことが可能になります。

冠動脈の内側は生まれた時にはすべすべで血液がスムースに流れますが、年をとるにつれて、動脈の内側にコレステロールなどがたまる動脈硬化がおきてきて、徐々に動脈の壁が厚くなるとともに血液の通り道が狭くなります(内腔の狭窄)。あたかも排水管の内側に「かす」が付着し流れが悪くなった状態です。心筋への血流量が不十分になるまで内腔が狭くなると、心筋収縮に必要な酸素が十分に供給できなくなり、心筋の酸欠状態(心筋虚血)が生じます。心筋虚血に陥ると心臓はSOS信号を発し、胸が締めつけられる等の症状が出現します。これが狭心症です。冠動脈が急に完全にふさがると心筋は壊死(死んでしまうこと)をおこします。これが急性心筋梗塞です。これらの冠動脈の狭窄による病気はまとめて虚血性心疾患と呼ばれています。

(1) 急性心筋梗塞

動脈硬化をおこし狭窄をきたした冠動脈の内側に亀裂を生ずると、そこに血液の固まりが付着してしまい冠動脈は完全にふさがってしまいます。心筋に酸素がいきわたらなくなり壊死をきたすのが急性心筋梗塞の発症です。

急性心筋梗塞になると前胸部が圧迫されるのを感じ、締めつけられる感じの痛みが出現します。痛みの部位は前胸部中央や胸全体のことが多く、時に顎から首にかけて、あるいは左肩や上腹部に及びます。冷や汗、吐き気、呼吸困難感を伴うこともあり、痛みが強いため恐怖感や不安感を感じることもあります。冠動脈がふさがっている限りは症状は持続し、12時間から24時間経過して完全に心筋壊死ができあがると症状は消失します。

急性心筋梗塞の治療はできるだけ早く冠動脈の閉塞を解除し心筋に血液がいきわたるようにすることが最も重要であり、風船療法(冠動脈形成術)と呼ばれる手術を行います。はじめに大腿の付け根あるいは手首の動脈に局所麻酔を行った後にカテーテルといわれる細い管を挿入し冠動脈までもっていき、血管撮影を行い閉塞部位を確認します。続いて冠動脈の閉塞部位にて先端に風船(バルーン)をつけたビニールチューブを膨らませ冠動脈を拡げます。さらにステンレスなどの金属を網の目状にした筒(ステント)を冠動脈の内部に入れて冠動脈を補強し、より広い冠動脈の内腔を確保します。心筋への血流が再開すると胸痛が消えるとともに、壊死しかけた心筋が救われて蘇ってきます。冠動脈が閉塞した時点から時間の経過とともに、壊死は進んでしまいます。心筋を少しでも多く救うためには、一刻でも早く治療を行わなければなりません。前述の前胸部の症状が出現し15分以上持続するなら、ためらうことなく大至急に受診して下さい(急性心筋梗塞によって突然心臓が止まってしまう心室細動という致命的な不整脈は発症1〜2時間以内におきることとが多いため、できるだけ早く救急車を呼んで下さい)。

急性心筋梗塞の発症は何の前兆もなくいきなり胸痛が生じることが多く約半数をしめます。残りは数時間前から数週間前に数分から20分程度の胸痛を自覚した後に突然発症します。胸が締めつけられるなどの症状を自覚し、しばらくして消失したとしても早めに受診して下さい。

(2) 狭心症

狭心症は動脈硬化により冠動脈が狭くなると生じます。体を動かすと心臓は拍動を速めます。心臓が拍動を速めるほど心筋が必要とする酸素は多くなります。冠動脈が狭いと心筋が必要とする酸素を十分供給することができなくなります。すると初めは強い運動をしたときに十分な酸素がいきわたらなくなり、心筋虚血の症状である、前胸部の締めつけ感などの不快感が生じます。冠動脈の狭窄が進むと軽い運動でも症状が出現するようになります。ただし急性心筋梗塞と異なりこれらの症状は安静にすると数分でおさまります。さらに冠動脈の狭窄がひどくなると安静にしていても症状が出現します。このようになると冠動脈は、ほとんどつまりかけており急性心筋梗塞の一歩手前の段階です。

階段を昇るときや、急いで歩いたときなどに数分間の胸の圧迫されるような痛みが起こる、明け方にトイレに行ったときや洗面のときに胸の不快感が起こる場合には狭心症が疑われますので、早めの受診が必要です。狭心症には冠動脈が「けいれん」するためにおこるタイプのものがあり(異型狭心症)、主に夜寝ている最中や早朝に目覚めた頃に胸の症状が出現します。

このような自覚症状がある方も受診が必要です。

リハビリテーション科より 〜福祉用具のご紹介〜

私達はさまざまな道具を使って生活しており、道具の無い生活は考えられないと言っても過言ではありません。障害を持つ人やお年寄りなど、障害を補うために使用する、日常生活の便宜を図るための用具を福祉用具といいます。今回はそんな福祉用具を幾つかご紹介したいと思います。

福祉用具というと何か特別なモノと思われるかもしれませんが、本人にとって生活の中に溶け込んで使われるものなので、むしろ生活道具と言ったほうがいいかもしれません。具体的には、歩行用の杖や車椅子のほか、シルバーカー、座面が高めで立ち上がり易い入浴用チェア、浴槽の出入り時に便利な浴槽台、滑り止めのついたバスマット、ポータブルトイレ…等々。食事の際使われるスプーンやフォークも柄の太さが選べるもの、首の部分を自由に調節可能なもの、利き手でない手でも使える箸や、すくいやすい形の食器、滑り止めランチョンマット、着替えで手がとどきにくい場合に便利なリーチャー、靴下を履く際に足まで手がとどかない場合はソックスエイド……ここに挙げた以外にもいろいろ販売されていますし、上記のものの中でも形・デザインなど種類が豊富に揃っているものもあります。

これらは介護用品を取り扱っている店や、一部はホームセンターなどでも販売しています。その方に適した福祉用具を選ぶには、可能であれば実際に現物を見て使用してみるのが理想ですが、難しい場合はその業者などに相談してみてはいかがでしょう。ご不明な点があればリハビリスタッフに一声かけていただければ幸いです。

新病院情報コーナーNo.6

このたびの新潟県中越地震では、県内各地で甚大な被害が生じております。
亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様にお見舞い申し上げます。

Q:
地震対策はどのようになっているのですか?
A:
新病院は現行の建築基準法に準拠し、かつ耐震性は現行法の規定の1.5倍で設計しています。
また、病院内部の震災被害等を極力低減するため、免震構造を採用しています。

〔耐震強度〕
震度6から7の初期のゆれまで絶えられます。

〔自家発電〕
ガスの供給が続く限り、70%制限で、連続運転可能(震度7の初期の揺れまで)
ガスの供給が止まった場合でも、生命維持に必要な主要機器のみ使用で3日間運転可能です。

〔用水〕
水道供給停止時には、使用量を制限し、井戸水を上水に転用することで対応する計画です。

Q:
免震構造とは何ですか?
A:
地震によって地面がゆれても建物が激しくゆれないようにする方法で、建物と基礎の間に免震装置と呼ばれる薄いゴムと鉄板をサンドイッチした円筒状の装置を組み込んだ方法が一般的です。
Q:
セキュリティは大丈夫ですか?
A:
火災等の対策は防災センターに火災報知器監視盤を設置し火災の早期対応を行います。
また、各スタッフステーションに副受信機を設置するなど、患者さんへの早期対応が可能です。
防犯対策としては重要箇所の入口制限はカードリーダー、電気錠で行う予定です。
また、夜間のクローズエリアの警備は機械センサーで行う予定です。

投書箱から

《患者さんからの声》
本日は父(80才)の入院で来ました。ところが駐車場のアキがありません。しかたなくお城の道路に駐車して来ました。ベット数と駐車場の車の数が合わないように思います。村上病院では昨年あたりから有料にして対応していますが、新発田病院での対応はどのようにするつもりでしょうか?父も80才ですから(今回で2度目の入院)長期的な解決方法では間に合いません。よろしくお願いいたします。

*回答*
駐車場の不足から患者さんにいろいろご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。ご指摘のとおり、当院の規模からして駐車場の絶対数が不足しており、慢性的な駐車場不足の状態にあるところです。
平成19年春の新病院への移転を控えている現在、駐車場の拡張工事をやることはできませんが、新病院では、約1000台程度の駐車場を確保するとともに病院利用者以外の駐車場利用を排除する目的で「有料化」とすることとし準備を進めています。