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進行性筋ジストロフィー(2)
主な筋ジストロフィー症および類似疾患(1)
1. Duchenne型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)
伴性劣性遺伝であり,通常男児のみに発症する.女性は保因者となり,男児をもうけたときに1/2 の確率で発症する.女児の1/2は保因者になる.

伴性劣性遺伝の遺伝形式の一例
筋ジスの中でも頻度が高く,出生男児3400人に1人の発生率である.10万人当たりでは5.3人(全国で約3000人)の頻度になる.単に筋ジスというときは本症をさすことが多い.
1/3 は突然変異による発症で,遺伝歴がはっきりしない.必ずしも母親からの遺伝とは限らないことをよく認識しておく必要がある.
本症では,筋の細胞膜を形成する蛋白質のひとつであるジストロフィンと呼ばれる物質が欠損しているため,筋細胞がこわれることが原因である.そして,このジストロフィン蛋白を作らせる遺伝情報(ジストロフィン遺伝子)はX染色体の短腕にあり,そこに異常があることが解明されている.
2−5歳で,転倒しやすい,動揺性歩行,階段昇降困難等で気づかれる.ミオパチー一般と同様に近位筋(体幹に近い筋肉:肩周辺,腰周辺)優位の筋障害分布を示す.
ふくらはぎなどが堅く肥大することがあるが,これは脂肪組織の浸潤であって,筋が肥大するわけでないので,仮性肥大と呼ばれる.床から起きるときに,床→膝→大腿と手をついて支えながら立ち上がり,これはガワーズ徴候として知られる.進行とともに四肢,脊柱(背骨)の変形をきたし,10−12歳頃には歩行困難で車椅子生活となる.

ガワーズ徴候
胸郭の変形,心筋(心臓も筋肉である)の障害等に伴って,呼吸機能,心機能の低下が次第に強くなり, 20歳前後で肺炎,呼吸不全,心不全等で死亡する.近年は,人工呼吸器の使用,全身管理の技術向上によって,延命が図られるようになった.

DMD患者のADLの推移(おおむねADL 50点を境に歩行ができなくなる.8才から15才の間である)

X染色体短腕上にジストロフィン遺伝子が存在する

DMDの死因の60-70%は呼吸不全、15%ほどが心不全である

呼吸不全で死亡したDMDの日中活動時の血液ガスの推移
動脈血酸素分圧と二酸化炭素分圧の値が逆転して約3ヶ月後に死の転帰をたどる.(二酸化炭素分圧が60torrを越えた時点での生命予後はおおよそ6ヶ月である)
